職人を大事に 〜気軽に頼め身近な存在〜

 

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前々回、おばあちゃん譲りのふただけが今でも手に入るのが英国のアンティーク市だと紹介した。古い物を大事にする市民の生活を支えているのは、そうした物流システムだけではなく、おそらく英国における職人の社会的地位によるものだろう。

ちょっとした古物の修理をしてくれる職人さんの手間賃が、びっくりするほど安い。安いから気軽に頼める。気軽に依頼する人が多いから、職人さんはその手間賃で十分に生活していける。

このいい循環が今の日本では失われてしまった。おばあちゃんから伝わった総キリだんすを修理するとなれば、目の飛び出るようなお金を払わなければならない。そんな大金を払うなら新しいたんすを買った方がいいということになってしまう。その結果、古だんすは物置の隅に押し込められるか、粗大ゴミとして捨てられてしまうかだ。

miryoku_09もし、安い修理代でよみがえるのであれば、もともと作りも材質もいい古だんすを捨てる気なんぞおきないはずだ。指物師、塗り師と呼ばれる腕のいい職人さんが身近にいて、気楽に修理が頼め、しかも納得できる代金で済むならば、心情的にも経済的にも捨てる気などおきないはずだ。

世界に誇る腕のいい職人さんはかつて日本にもたくさんいたはずだ。彼らの数が少なくなったのは、職人仕事で生活を支えていけなくなったからだろう。注文者が減るから手間賃が高くなるのか、高くなるから仕事が減るのか、いずれにしてもそんな悪循環の結果だろうと思う。

職人さんが大事にされることが、単に趣味として古物を大事にするだけでなく、それを生活の中にいい感じで取り込める基盤ととなる。大きく見れば使い捨て文化を退ける環境保護の生新にもつながっていくのではないか。