頑固精神〜流行や目先の便利さを拒絶する精神〜

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本場英国では製作後百年以上たったものを「アンティーク(骨とう)」、それに満たないものは「ジャンク(廃物)」と扱われるという。

人間の寿命を超える百年という年月を条件に加えているところが面白い。
もちろん、古ければよいというものではなく、親から子、子から孫へ伝えられ、使いこなされているうちにしみ出る風格が作品の価値を決めることになる。

職人の腕の確かさ、厳選された素材、時代を越えて受け入れられるデザイン、この三つの要件がそろわなければ、百年の年月を超えられるはずはないという合理精神に、英国人の頑固さがうかがえる。

そしてこの「頑固な気質」は、洋の東西を問わず、骨とうを取り巻く人々に共通のもののように思える。

テーブルにしても、いすにしても、戸棚のたぐいにしても、実用性とは関係のない細部に「よくも、まあ」とあきれるほどの手の込んだ細工が施されているのは、職人の完ぺきを求める頑固さと言えようし、愛好家もまた機能性・経済性よりも古びの雅趣に頑固にこだわる。

英国では十八世紀後半の産業革命による量産への反省として、アーツ&クラフト運動が起こったというが、これは高度成長期の規格品の量産と使い捨て主義への反省から手作り品を見直そうという今の日本の機運と通じるところがある。

根っこにあるのは、しっかり作った物ならば百年使おうというケチ精神であり、流行や目先の便利さを拒絶する頑固精神である。

一時代前までは日本の家庭には、親から子、子から孫へと伝えられたたんすがあり、用具があり、器があったのだが、それらがガラクタとして処分された時期があった。

いまここに来て骨とう家具に熱っぽい目が注がれ始めたことは、効率を度外視した生活の中にこそ「いやし」があるとする頑固さの蘇生(そせい)というべきだろうか。

Mr.K (Ksアンティーク  川口宗彦)